英語を使えるようになりたい!そう思う人は多いです。
しかし、日本人が日本語で話す言葉をそのまま英語に変換しても、英語圏の人には意味が伝わらないことがあります。同じように、相手の行動に「なんでそうなるの?」と疑問を感じることもあります。
英語力と異文化適応力は深く関係しています。使える英語力を身につけるには、知識としての英語力に加えて、言語としての英語力を育てることが重要です。
「なんでそうなるの!?」よりも「こうなるのかぁ。。」と頷いてみることにより、コミュニケーションへの苦手意識や違和感は改善できます。
この記事では、言語と文化の関係性とその理解方法を具体的に解説します。
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もくじ / Table Of Contents
言語に文化は依存する!?英語力とカルチャーの関係性
あなたにとって、「使える英語」とは何ですか?
・TOEICなど、試験で高得点を獲得すること
・旅行などで伝えたいことを表現できること
・他人の英語を聞き取り理解できるようになること
・海外滞在など英語環境の生活に困らないこと
・プレゼンやビジネスでスムーズにコミュニケーションできること
その基準は、人によって異なります。
テストや資格など、英語を教科と捉える場合を除き、英語を使うことは、多国籍の人々と話すことを意味します。
そして、相手がどんな人か、「その国がどんな国か」を理解するにつれて、コミュニケーションはよりスムーズになります。それは、「その人や国の文化」を理解するからです。
英語は、教科ではなく言語です。日常生活と共存する文化です。
異文化の理解には、文化を理解する知識とコツが必要です。
以降、国の文化の特徴と異文化の捉え方について、順を追って解説します。
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普通って何!? カルチャーショックを受ける理由
友人や家族、職場の同僚など、「普通はこうするよね」と思うこと、ありますよね。
とはいえ、英語を使う場面において、この感覚は非常に危険です。
なぜなら、あなたの「普通」は、文化性が似ている場合にのみ通用する概念だからです。
日本は島国で、文化独自性が非常に強い国です。
つまり、日本の「普通」は世界共通ではありませんし、日本人にとって、世界の「普通」が意外に感じることは多いです。「普通が通用しない」この戸惑いが「カルチャーショック」です。
そして、「この人の普通はこうなる」を理解できないことが、コミュニケーションミスを引き起こすことは多いです。
ここでは、異文化理解へのアプローチとして、各国の文化性を相対的に示す2つの指標と、その活用方法を紹介します。
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文化を図る指標:カルチャーマップとホフステードモデル
「文化って測れるの?」そう思うかもしれません。
確かに、文化は、人口や国土面積などのように単純に数値化はできません。理想や正解もありません。
しかし、国の文化を比較する指標は存在します。そして、日本の「普通」への偏見を取り除き、「相手の普通」を理解することにより、コミュニケーションのスムーズさは格段に改善します。
ここでは、次の2つを紹介します。それぞれ英語の本が出版されており、専門表現も多いです。(※)
・カルチャーマップ8指標:Erin Meyer > Author, Speaker, and Cultural Expert
・ホフステードの6次元モデル:Hofstede-Insights > NATIONAL CULTURE
そして、主要な英語圏の国と日本とを比較し、3つの具体例から異文化理解への活用方法を解説します。
(※)それぞれの指標の概念を理解するには時間を要します。「カルチャーマップ(Erin Meyer Culture Map)」、「ホフステード(Hofstede)」などで検索すると、関連記事や事例紹介を見つけることができます。ぜひ探してみてください。
【ビジネスと文化】メイヤーのカルチャーマップ8指標
カルチャーマップでは、多国籍環境におけるビジネスリーダーとしての成功がフォーカスされています。概要は以下となっています。
Overview: Erin’s work focuses on how the world’s most successful leaders navigate the complexities of cultural differences in a multicultural environment. (source: Erin Meyer > Author, Speaker, and Cultural Expert)
【概要】多国籍メンバで構成されるグローバルビジネスチームにおいて、文化の壁を超えて成功するための傾向指標を可視化したもの
そして、以下8つの構成指標があります。
・コミュニケーション:ローコンテクスト(low context) / ハイコンテクスト(high context)
・評価のフィードバック:直接的(direct)/ 間接的(indirect)
・説得:原理優先(Principles First) / 応用優先(Applications First)
・リード:平等主義(Egalitarian) / 階層主義(Hierarchical)
・決断:合意志向(Consensual) / トップダウン式(Top-down)
・信頼:タスクベース(Task-based) / 関係ベース(Relationship-based)
・見解相違:対立型(Confrontational) / 対立回避型(Avoids confrontation)
・スケジューリング:直接的な時間(Linear-time) / 柔軟な時間(Flexible-time)
この指標を、英語を話す主要4カ国(折れ線グラフ)と、日本(黄色の棒グラフ)で対比すると、以下のようになります。(※)一部評価がないものを含みます。
(source: Google Books: The Culture Map)
(※)色分けは、それぞれ以下を示します。
・赤枠:英語を話す主要4カ国と日本の文化性が近い(類似)傾向にあるもの
・青枠:英語を話す主要4カ国と日本の文化性が遠い(異なる)傾向にあるもの
【価値観と文化】ホフステードの6次元モデル
これに対し、ホフステードの6次元モデルは、人の価値観を文化指標で数値化しています。概要は以下となっています。
Overview: Professor Geert Hofstede conducted one of the most comprehensive studies of how values in the workplace are influenced by culture. (source: Hofstede-Insights > NATIONAL CULTURE)
【概要】「人の価値観が文化によってどのように変わるか」を6つの観点で数値化したもの(source:Hofstede Insights > 国民文化)
そして、以下6つの構成指標があり、0から100の数値で示します。
・権力格差:小さい(0) / 大きい(100)
・集団主義・個人主義:集団主義(0) / 個人主義(100)
・女性性・男性性:女性性(0) / 男性性(100)
・不確実性の回避:低い(0) / 高い(100)
・短期志向・長期志向:短期志向(0) / 長期志向(100)
・人生の楽しみ方:抑制的(0) / 充足的(100)
この指標を、英語を話す主要4カ国(折れ線グラフ)と、日本(黄色の棒グラフ)で対比すると、以下のようになります。(※)
(source: Hofstede Insights > COMPARE COUNTRIES)
(※)色分けは、それぞれ以下を示します。
・赤枠:英語を話す主要4カ国と日本の文化性が近い(類似)傾向にあるもの
・青枠:英語を話す主要4カ国と日本の文化性が遠い(異なる)傾向にあるもの
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英語主要国と日本はこんなに違う!!異文化を比較してみよう
上であげた2つの指標について、英語主要4カ国(アメリカ、イギリス、オーストラリア、カナダ)の類似性と、日本の位置付けのギャップは非常に顕著です。
英語を話す主要4カ国(折れ線グラフ)は、比較的近しい傾向があります。それに対し、日本(黄色の棒グラフ)は、ほとんどの指標について、大きく異なります。
以降で、英語主要国と日本大きく異なる傾向を示す指標のうち3つを具体的に説明します。
具体例1:決断への姿勢(Top-down/Consensual)
「誰と調整したらいいの??」という課題、ビジネスで直面することは多いです。
決断姿勢とは、組織としての意志決定に対するアプローチを示します。
合意志向が強い日本は、全ての関係者合意を重視するため、決断に時間がかかることが多いです。
一方、トップダウン式の傾向が強い英語圏は、比較的短期間のうちに、決断者の最終決定で意志確定されることが多いです。
ビジネス調整において、決断姿勢やアプローチ手法の違いを理解し適応することが、スムーズな決断合意には不可欠です。
具体例2:見解相違への姿勢(Confrontational/Avoids confrontation)
「ここで発言する??」ミーティングでの発言タイミング、迷いますよね。
見解相違への姿勢とは、話し合いの場で積極的に意見を発言するかどうかを示します。
対立回避型傾向が強い日本は、反対意見や断りを明確に示さないことが多いです。
一方、対立型傾向が強い英語圏では、発言は「活発な意見交換」として前向きに捉えられます。逆に、「発言がない」ことは意見がないこととみなされ、話合いへの参加意志がないとみなされてしまう場合があります。
見解相違への姿勢の違いを理解し意識することで、互いに建設的な意思疎通を図ることができるようになります。
具体例3:集団主義/個人主義(Individualism)
「みんなと一緒が安心、1人は不安。。。」と思った記憶、あると思います。
集団主義とは、集団の利害が個人の利害よりも優先される社会的傾向を示します。
集団主義の強い日本では、学校の制服制度があり、集団社会の中でどのように振る舞うか、が無意識に身につきやすい環境にあります。
一方、個人主義の傾向が強い国では、「私は」という視点を大切にしています。そして、他の人も同様に、それぞれの「私は」があることを「普通」と考えます。
これは、先で説明した「見解相違への姿勢」にもつながる価値観です。
「私は」の考え方が強い個人主義では、「私はこう思う」を伝える意思が働き「発言する」姿勢をとります。しかし、「みんなが」の考え方が強い集団主義では、「私は」を持たない、または抑えます。その結果、「発言しない」姿勢をとります。
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まとめ:英語の習得に異文化理解は欠かせない
これまで、英語力と異文化理解の関係性について解説してきました。
・エリン・メイヤーのカルチャーマップ8指標
・ホフステードの6次元モデル
人に個性があるように、国には文化があります。そして、英語主要国と日本の文化性は、顕著に異なります。
私も、今までカルチャーショックを受けることは多くありました。しかし、相手の普通に「そうなるのね。。」と、まずはそのまま受け入れることで、よりスムーズなコミュニケーションができるようになりました。
文化の違いや「普通」への先入観を見直すことで、コミュニケーションは格段にスムーズになります。
ぜひ今日から意識してみてください。
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最後までお読みくださり、ありがとうございました。